エックハルト・トールが提唱する「ペインボディ」の概念は、「トラウマ」や「インナーチャイルド」といった概念と非常に深く関連しています。
トールの教えに基づき、ペインボディの定義とそのトラウマや幼少期の経験との関連性について詳しくご説明します。
ペインボディの定義とトラウマとの明確な関連
ペインボディとは、「過去の経験から蓄積された感情的な痛みや苦しみのエネルギー体」のことです。
これは、心身に蓄積され、一つの「存在」のようになった「痛みの塊」とも表現されます。
このエネルギー体には、私たちが経験した「トラウマや深い傷つき、繰り返されたネガティブな体験」が、単なる記憶以上のものとして残り続けています。
ペインボディが活性化すると、過去の経験から生まれた感情や反応パターンが現在の状況に投影され、不安、怒り、悲しみ、恐れといったネガティブな感情が強く湧き上がります。
特に「深いトラウマがある場合」は、ペインボディの解放において専門家のサポートが役立つとされています。
幼少期の経験とインナーチャイルドとの概念的な類似性
トールは「インナーチャイルド」という言葉は直接使っていませんが、ペインボディの形成において幼少期の経験が決定的な役割を果たすと繰り返し述べられており、その機能はインナーチャイルド(内なる子どもの傷)の概念と概念的に強く類似しています。
ペインボディは、例えば、「幼少期に度々親から否定された経験」によって、「自分には価値がない」という感情的な痛みとして蓄積されます。
また、「幼少期に親から十分な愛情を受けられなかった人」は、その過去の痛みを現在のパートナーとの関係に重ね合わせ、過剰な要求をしたり傷つきやすくなったりします。
トールは「子どものペインボディ」についても言及しており、これは激しい癇癪や泣きわめき、床に転がって暴れるといった形で現れることがあります。
これは、多かれ少なかれ子どもが人類全体の「集団的ペインボディ」の一部を受け継いでいることに加え、親のネガティブな感情的エネルギーを吸収している可能性もあります。
ペインボディは、感情から作り上げられた「寄生体」のような存在であり、ネガティブなエネルギー(痛みの栄養)を糧にして生き残ろうとする「不幸依存症」であるとされています。
この痛みが、私たちの心や行動を無意識のうちに支配しようとする点が、しばしば未解決の幼少期の感情的な苦しみが現在の行動パターンを駆動するという「インナーチャイルド」の概念と重なります。
ペインボディの解放と自己認識
ペインボディは、普段は眠っていても、ある出来事や人との関わりによって刺激されると目を覚まし、私たちの思考や感情に入り込み、支配しようとします。
解放への道は、このペインボディの存在を「意識の光」で照らすことです。
ペインボディが活性化したとき、「これは自分の中のペインボディだ」と気づくことが、それとの同一化を断ち切る鍵です。
痛みや不幸は、現在の出来事や状況ではなく、自分自身の内にある感情的な過去というレンズを通して、いまという時を見ることによって生まれるのです。
ペインボディを直視し、それが「本当の自分ではない」と認識することで、その実態(幻であること)が暴かれていきます。
ペインボディは、あなたが長年抱えてきた「トラウマ」や「幼少期の傷」(インナーチャイルド)のエネルギー的な集合体であり、そのエネルギーが意識化されないまま、あたかも独立した存在のように振る舞い、現在の生活に苦しみを生み出している、と言えるでしょう。
解放は、その痛みを分析するのではなく、いまに在る意識によってただ観察し、受け入れることから始まります。

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