エゴ

「足りない」「もっと欲しい」という不安|エゴは永遠に満たされない

エゴ
この記事は約5分で読めます。

私たちは、お金、成功、愛、あるいは完璧な人間関係など、常に何かを「もっと欲しい」「これがあれば満たされるはずだ」と追い求めて生きています。

しかし、どれほど多くのものを手に入れても、その満足感は長く続かず、すぐに次の欲望や不安が生まれてきます。

エックハルト・トールは、この「永遠に満たされない渇望」の根源は、にあると説きます。
エゴは、私たちを「欠乏」という錯覚の中に閉じ込め、絶えず外部に満足を求めるように仕向けているのです。

エゴの根底にある「不十分さ」という感覚

「私は不完全である」という根強い不安

エゴ的思考の最も大きな特徴の一つは、「私は不十分だ」「私は欠けている」という根強い感覚を常に抱えていることです。
この感覚は、表面に出ている人もいれば、全く無自覚な人もいます。

  • 自覚のある場合
    「私は価値がない」「私は欠けている」という不安定な感情が心の表面に浮かび上がっています。
  • 無自覚な場合
    この感覚は、心にぽっかりと開いた穴を埋めるために、「何かに対する活動」という間接的な形で現れます。

このエゴの根源的な不安の感情は、「名付けられない感情」あるいはシンプルに「痛み」と呼ぶのが妥当とされています。
それは、「自分が一体誰なのか分からない」という認識の欠如が原因となって生じています。

穴を埋めようとする無益な努力

エゴは、この心の穴を埋めるために、さまざまな欲望にのめり込みます。

お金、成功、権力、名声、快楽、親密な人間関係など、何かを「得ようとする努力」そのものが、この欠乏感から生まれている のです。

しかし、エゴの欲求には果てしがありません。
どれほど多くのものを手に入れても、心の穴は決して埋まりません。
やがてその穴が底なしであることに気づくのです。

これは、エゴが生きている世界が恐れと欲望の世界 だからです。

欲望と所有の錯覚

エゴは、この欠乏感を一時的に紛らわすために、「形」との同一化を試みます。
特に、所有という概念はエゴを拡大させる大きな要因です。

エゴは、「我、所有す。ゆえに我あり」という信念で生きています。
多くを所有すればするほど、自分の存在も豊かになると考えます。

しかし、所有しているという感覚は、実際にはイメージに過ぎない幻です。
例えば、私たちが土地を所有しているという概念も、多くの人がその思考を認めているというだけであり、真実ではありません。

そして、死が近づくと、所有という概念そのものが全く無意味であることが暴露されます。
なぜなら、死ぬ時にはすべての同一化が剥げ落ちるからです。

不安と欠乏のループ

エゴの無限のサイクル

欲望は、「大いなる存在(Being)」と一つになる喜びの代用品として、外界に満足感を求めることから始まります。

エゴは常に分離を促し、「私」と「それ以外」という二元論の世界に生きています。
そして、得ることと失うことで成り立つ物質的な世界に、永遠の満足を求めようとします。

エゴは、未来に「これを手に入れれば幸せになれるだろう」といった幻想にすぎない期待を抱きます。

エゴが経験する喜びのようなものは、永遠に移り変わる「痛み—快楽サイクル」のうちの一つの快楽であることがほとんどです。快楽は自分の外側からもたらされますが、それはやがて痛みに変わります。

「大いなる存在」とつながっていない限り、私たちは「今この瞬間の豊かさ」を感じることができません。
不安や欠乏感がある状態で豊かになっても、心は永遠に満たされず、さらに強い欲望が生まれるだけなのです。

心理的な時間への依存が不安を生む

エゴが無限の欠乏のループから抜け出せないもう一つの理由は、心理的な時間に依存しているからです。

エゴにとって「いま」という瞬間は、未来のゴールに到達するための価値のないちっぽけな踏み台になってしまうのです。

心理的な恐れは、今起こっていることではなく、これから起こるかもしれないこと に対するものです。
あなたがいるのは「今ここ」ですが、意識は未来に向かっている。
このギャップこそが、不安やネガティブな感情を生む原因なのです。

エゴに支配されているとき、すべての行動を律しているのは不安であり、「何者でもない」という不安、存在しなくなるという不安、死の不安 です。

エゴは形との同一化によって生じますが、どんな形も永遠ではないことを承知しているため、常に不安定な頼りなさ がつきまといます。

欠乏のループからの解放

「すでに完全である」という真実に気づく

エゴのサイクルから抜け出す鍵は、「完全であろうとする努力」から解放されることです。

私たちが「いまの現実」「自分のいる場所」「自分が何者であるか」「いま行っていること」を完全に受け入れる時、すでに「そうであるもの」に感謝し、大いなる存在に感謝しているのです。
それこそが「真の豊かさ」です。

世界がもの惜しみをして与えてくれないと思っているものは、あなたがすでに持っているのに出力しようとしないものなのです。
すべての豊かさの源泉は、あなたの中にあります。

欲望を手放し、「いまに在る」こと

欠乏感から解放され、真の豊かさを体験するために必要なのは、欲望を追い求めることではありません。

「自由になる方法を追い求める」「さとりを開こうと努力する」といった未来を追い求める必要はありません。

ただひたすらに、今この瞬間という時を生きる のです。

欲望や執着が生まれる思考に気づいたとき、それを追い払うのではなく、思考を観察する人になってください

「いまに在る」こと は自由への鍵であり、あなたが完全に「いまに在る」とき、エゴは力を失います
エゴが作り出す「足りない自分」という幻影は、意識の光によって溶かされ、あなたはすでに完全無欠である という真実に目覚めるのです。

「大いなる存在」とつながっていない限り、私たちは「今この瞬間の豊かさ」を感じることができません。

エックハルト・トール

コメント

タイトルとURLをコピーしました